時間感覚を研く
自分の周囲の人たちを見回してみて気付くことの一つに、時間感覚の
違いがあります。何かに対処する必要が起った時、所要時間を短く
見積る人がいる一方、長く見積る人もいます。
良い面から捉えますと、時間を短く見積る人は事に対処する意欲が高い
人と言えます。時間を長く見積る人は事を期限までに確実にやり遂げ
ようとする気持の強い人と言えます。
悪い面で捉えますと、時間を短く見積る人は期限に遅れがちで関係者に
迷惑を掛けやすい人、時間を長く見積る人は時間を余らせて無駄に
過ごす時間が多かったり、スピード感のある仕事ができない人、という
ことになりそうです。
仕事をどちらのタイプの人に頼むかについても違いがあるようです。
気合いや勢いを重視する場合、時間を短く見積る人に頼むことが多い
ようです。このタイプは依頼した時の反応がよいからでしょう。
一方、確実に期限までに仕上げて欲しいと思う場合には、時間を長く
見積る人に頼むことになりそうです。依頼時の反応がもう一つすっきり
しなくても、過去の実績から確実性を信じることができるからです。
過去の適性検査の一部が示していることは、仕事成績のいい人間の
ほとんどは、経過した時間を少なく見積るか、きわめて正確に見積るか
のどちらかのようです。
但し、これはあくまでも経過した時間に対する感覚が対象であり、
これからのことにかかる時間が対象ではないこと、かつ、適性検査の
問いに答えた結果であることに留意し、盲信するのは危険です。
時間感覚がずれる理由を過去の研究者が挙げていますので、これを
紹介します。
・言語や論理的思考を支配する脳の部分が時間経過を判断する。
創造的にものを考えたり、実際にものを創造したり、直感を働かせる
など、この部分と反対の部分を使う時間が長いと、その分だけ時間が
経つのを意識しなくなる。例えば、夢中で本を読む、感情を昂らせて
会話をするなどがこれに当る。
・仕事の遅い人が時間のプレッシャーから逃れるために使う、安全弁の
ような言葉がある。それが「明日」という言葉だ。この言葉に頼り
すぎて時間の価値を下落させるから、時間経過の速度を見誤る。
・楽しい時は時間が飛ぶように過ぎる。だから人間の脳は、楽しい時
から次の楽しい時までの隔たりを測ることで、時間の経過速度を判断
する。この二つの楽しい時の間に重い仕事を入れた際には、この間の
時間の経過は長く感じる。
こうした解釈を基準にしますと、仕事ができる人が時間を短く見積り
がちだというのも納得できそうな感じです。しかし、時間を短く見積る
人も、長く見積る人もストレスを避けることはできないようです。
時間を短く見積る人は、ついつい多くの仕事を引き受けすぎて、
他人に多大の迷惑をかけることが多いのです。仕事を進める過程で
時間が足りないことが見えてきますが、その足りない時間内に仕事を
こなそうとするストレスや、期限に間に合わずに関係者に迷惑をかける
心配からくるストレス、などは小さくありません。
時間を長く見積る人は、猶予をたっぷり獲得して、大方の期限は守るの
ですが、「なんでそんなに時間がかかるんだ」という周囲の視線が
プレッシャーになり、そこからくるストレスが、過小に自己評価して
いる自分の才能の解放を妨げます。
どちらのタイプにも言えることは、時間の経過を正しく見積る訓練を
することです。短く見積る人は、頭に浮かんだ期限に対して、本当に
これでやり遂げることができるかを、もう一度自問してみることです。
長く見積る人は、時間についてもう少し冒険心を持って、自分の尻を
叩くことを励行してみることです。背伸びしてみることが能力開発に
つながることは少なくありません。
心構えは上記に示す通りですが、具体的には「目標を達成する仕事の
仕方」を活用することです。その中の、ゴール明示、業務分解、所要
時間見積り、時間予約、などを励行し、習慣化することが効果的です。
この文章は月刊:考研レビューさんの許可を得て掲載しています!