ローディーのお仕事 応用編 キーボード・ピアノ

キーボード・ピアノのケアやローディーとしてのポイント

キーボード、ピアノのローディーとしてのケアの説明や、オフステージにおけるメンテナンスや心掛けを説明します。

私たちローディーがキーボーティストをサポートする場合、キーボーティストにも様々な人がいて、皆使っている物も違えば性格も違うので、一概にはキーボード Tech という仕事はこういうものだ!と言う事は出来ません。私は『そのミュージシャンをいかに安心してプレイに集中させる事が出来るか』と言う事を常に頭において仕事をしています。それに必要なのはミュージシャンからの信頼を得る事です。その信頼を得るには、

1. システムを理解する

2. ミュージシャンが使っている楽器を知る

3. ミュージシャンとのコミュニケーションを考える

私は 以上 3点を挙げたいと思います。

1. は そのミュージシャンをサポートするにあたって 1番大切な事です。ここで言うシステムとは、どういった楽器を使い、どの位置に置いて、どう配線し、どういった音を出すかといった事を総合したものです。私たちローディーがシステムを作る場合もありますが、そうでない場合、信号の流れを把握する事は勿論、何故その機材を使っているのか、又、何をしたいのかという事を理解しなくてはなりません。これを理解できなければ、トラブルが起きた時、対処方法の優先順位をつける事ができません。それからハウスエンジニアやモニターエンジニアとの温度差ができてしまう要因にもなるでしょう。

2. は 単純に、そのミュージシャンが使用している楽器を 全て把握するということです。使い方、特徴、発音の原理等は、知っておかなくてはなりません。初めて見る機材(シンセ)であれば、ある程度いじり倒した後に取扱説明書を読み、またいじってみる。この繰り返しをすれば意外とすぐに覚える事ができます。メーカーによっては ある程度特徴が決まっているので 各メーカーにつき 1台でも完璧に把握している機材があれば 早く理解していけると思います。最近のシンセサイザーは親切にも!? いろんな機能をつけてくれているので 一見するととっつきにくく、非常に難しいように感じますが、使わない機能は覚える必要は無く、今迄に無い便利な機能は知っておくと ミュージシャンにも重宝されるでしょう。

シンセ以外で他に鍵盤ものといえば、ピアノやオルガンでしょうか。これらは使い方は勿論の事、中身の構造、発音の原理等は知っておかなければなりません。ネットがこれだけ普及している現在はそこから情報を得る事も簡単ですし、専門雑誌にもそこらへんの事は載っています。私はピアノの場合はエレピも調律する、ある調律師の方と以前多く仕事をする機会があり、その人から沢山の知識を得ました。オルガンに関しては同様に昔ハモンドに勤め、現在オルガンを専門にリペアをしているある方からいろんな知識を貰いました。これが現在私の武器になっています。両名とも今でも大変お世話になっています。

3. は キーボーティスト、ピアニスト以外でもどのミュージシャンとの間にも言える事ですが、とにかく話し合う事です。ミュージシャンのやりやすい方法を導き出し、それに私たちが近づけて行く。そのミュージシャンがバンドアレンジ等をしている場合などは、逆に距離を置いた方が良い場合もあります。時、雰囲気を選ばずして話しかける内容によっては、うっとうしいと思われる事もあるでしょう。その人の性格を加味しつつ、うまくコミュニケーションを取る事が大切です。

私は以上 3点を確立し、ミュージシャンとお互いの信頼関係を築き上げる事が、結果として良い音を作り出せる事につながると考えています。

キーボード・ピアノにおける注意点や心遣い

単にキーボード、ピアノと言っても多種多様で、キーボードなら Prophet5.MiniMoog の様なヴィンテージアナログシンセから、音源の入っていないコントローラー的な役割をするマスターキーボードと呼ばれる物、そしていわゆる普通にキーボードと言われる鍵盤を弾けば音が出るもの、その他にはオルガン等もありますよね。

ピアノも同様で、通常我々の携わっているコンサートではアコースティックピアノとエレクトリックピアノに分かれます。エレクトリックピアノで代表的なものといえば、FenderRhodes や Wurlitzer 等が挙げられます。アコースティックならアップライト、グランドピアノの 2タイプがあり、またそのグランドピアノには色々大きさがあります。

アコースティックピアノに関しては通常コンサートでは小屋の物を使う事が多く、置いていない場所ではピアノのレンタル業者に頼みます。業者の場合は運搬から組み立てまで全てやるので、ほぼお任せとなりますね。小屋の物を使う場合は小屋によってピアノ本体のキャスターを使ってはいけないという所もあるので動かす時には注意が必要です。その時はピアノの専用台車を使います。(丸いハンドルを左右に回すと昇降するあれです。)とにかく傷つきやすいものなので仕込みや特にバラしの時は他の機材をぶつけない様、またぶつけさせない様に気を使います。以上の楽器に関係する知っていると便利な事、知らないとまずい事を何点か書いてみます。

●キーボードでよく「あれっ音がでないなぁ」というと大抵 Local Sw が Off になっています。まずはそこを疑いましょう。

●野外でのライブ。湿気のせいか鍵盤が弾きにくい時にはベビーパウダーを少量鍵盤にふりかけておくとよいです。特にオルガンでグリッサンドをよく使うプレイヤーには効果絶大!でもかけすぎると滑りすぎて逆効果になる事もあるので注意が必要です。

● FenderRhodes SuitesCase の上に他のキーボードや、音源、ミキサーを乗せる場合、乗せる物のトランスの位置によってはそれを Rhodes 内部のピックアップで拾ってしまい、ノイズがでます。どうしてもという事が無い限り、Suites Case の上には電気物を乗せないようにしましょう!

●よくリハーサルスタジオの片隅に置いてあるアコースティックピアノ。使わないからといって、この上に物を乗せようとするバカ者がいます。絶対にしてはいけないことです!

● YAMAHA GranTouch 等の非接触式のセンサーで MIDI に変換するタイプは、強い照明が機材の隙間からセンサー部に当たると センサーの光がその強い照明でぼやけ、音が出なくなります。野外等では太陽の日差しに注意です。屋内では置き位置、照明との位置関係を気にしておきたい所です。

今までローディーの仕事をしてきて このような事を書き並べたらきりが有りませんが、ふと思い出した事を書いてみました。この仕事は経験が物をいうということも多いですね。マニュアル通りにいかない事も多々あるのです。

最後に、一言。最近のキーボード、シンセなんかは中身が複雑でミュージシャンも必要なパラメーターしかいじらず、機材にあまり詳しくない人も増えています。そこでローディーに頼ってくるミュージシャンも結構いるので、ローディーは機材の知識は豊富に持っていないといけません。日々進化していく機材についていけるように努力が必要なのです。

これはやってはいけないキーボード・ピアノ編

やってはいけないことは挙げれば沢山あると思うのですが、スタンドがきちんと固定してあるか、乗せる=落ちてもおかしくないかも!? と避難訓練のように「もしも・・・。」と考えて行動に移していました。キーボードだけではないですけど。スタンドのねじがゆるまないように工夫したり、定期的にねじをしめたり、積み込みでスタンドが壊れないようにケースにしまったり、すべてステージ上に繋がってくるわけですから。

あと、キーボード本体においては足で踏まれないよう、しまう時には鍵盤が割れないようにアルバイトの人に持ち方を指示したり、ケースの中で、付属の電源ケーブルが鍵盤本体の下敷きにならないように入れるなどです。一番注意していたのは、(ローディーさん要注意!!)鍵盤を拭くときにギターを拭いたクロスを使用しない!!ことです。弦の滑りをよくするためのオイルなどの油分がクロスについているからですね。鍵盤にそれがつくと結構滑るものです。

知っておきたいキーボード・ピアノの etc

HAMMONDORGAN に白黒反転している鍵盤が12個ありますが、その鍵盤、押したら下がりっぱなしになります。初めて私も押してみて「壊れた!!」と一人焦っていた若き頃。これは ORGAN の PRESETKEY で、9個の音色と 2個の USER KEY(一番右側の A♭と B の KEY)で DrawBar を自由に変えて演奏します。一番左の C の KEY は「CANCEL」用で間違えて 2つの KEY を押してしまった時などに、使用します。

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